食事から見たダイエット

高蛋白質ダイエットの有効性
を科学的に評価する

投稿日:2018年5月14日 更新日:


ダイエット法 評価* 報告における
効果の程度
科学的
合理性
メリット 注意点・
デメリット
注意主観的コメント
高蛋白質
ダイエット
A 内容は多岐にわたるが、ヒト試験は多い B 減量効果は必ずしも一定でなく、弊害の報告も少なくない B 高齢者に不向きという説アリ 高蛋白食は高齢者については学会で危険という意見があり、高齢者にとってこの方法は賛否真っ二つに分かれる。高齢者でも高蛋白食を好む人はこの方法を選択できると思う

*研究報告状況(かなりの量のヒトでの研究ありA、わずかな人での研究ありB、かなりの量の動物での研究ありC、予測の段階D

1-3-1 高蛋白質ダイエット

同じカロリーを摂取するなら、インスリンを上げる炭水化物より蛋白質を多くとるべきだという考えと、実際問題として蛋白質を多くとる人、特に高齢者は長生きしないというデータがあるといって、同じ学会内でも真っ向から意見が対立する。昔から今に至るまで右に左に揺れ続けている。とても丸めて一言で解説するわけにはいかない。

原則(1) 厚生労働省「日本人の食事摂取基準2015」によれば、一日あたりのタンパク質平均必要量は成人男性で50g、成人女性で40gと定義されています。可能であれば成人男性は60g、成人女性は50g摂ることが推奨されています。これを中心に高蛋白質ダイエット、低タンパク質ダイエットを考える。さっぱくに言うと、肉でも魚でも100g当たり15~25gの蛋白質を含む。日本のステーキ屋さんで200~300gがスタンダードな一食分とすると、ほぼ一食で一日分の蛋白質を摂取したことになる。

原則(2) 身体の筋肉を作るには特に蛋白質が必要で、筋肉が総量として一番エネルギーを消費する部位であるから、摂取エネルギー≦消費エネルギーとするには筋肉の量が重要である。筋肉(骨格筋)は使わなければ容易に皮下脂肪や間質系組織に変化して、体の見た目は同じでも、筋肉の少ない、すなわち消費エネルギーの低下した体になってゆく。ここで述べるダイエットは現状の生活習慣をどう変化させるかであるから、摂取エネルギー≦消費エネルギーとするには皮下脂肪や間質系組織を筋肉に変化させることが最も効果的である。

原則(3)  糖質は、肝臓で、脂質や蛋白質(アミノ酸)に変換される。
蛋白質(アミノ酸)は、糖質や脂質に、変換出来る。脂質は、糖質や蛋白質には変換出来ない。脂肪酸分解で生成されるエネルギーは、肝臓で、糖新生に利用される。脂肪酸燃焼(TCAサイクル)には糖質から生成されるオキサロ酢酸が必要(脂肪は、糖の炎によって燃える)。

高蛋白質ダイエット

これより糖質からエネルギーも蛋白質も脂質も作れるから最も使いやすい栄養素である。
これら変換にはエネルギーを使うから、蛋白質を作るには無駄が多い。脂質はもっぱらエネルギーを作る為に有利な栄養素である。余った栄養素は脂質としてエネルギー源を貯め込む、これを消費するには燃焼させるしかない。蛋白質は最も有効に筋肉等身体構造を作る為に有利な栄養素である。

糖質で筋肉を保ったり、増加させるようとすると無駄が多いから多量な糖質を摂取しなければならない(たとえば馬のように草を食べるということ)。激しい運動をして筋肉痛がおきるのは、足りないエネルギーを補うために蛋白質を燃やし、筋肉が崩壊するため。ダイエットのために過度なカロリー制限をすれば、筋肉は崩壊してゆく。これよりエネルギー消費(基礎代謝)が低下し、さらにカロリー制限が必要な悪循環が生まれる。

よって、運動の増加とそれに見合った蛋白質摂取の増加が望ましい。運動により脂肪を燃焼しようと思うよりは、運動により筋肉(骨格筋)をつけて、増加した筋肉がエネルギーを消費することにより摂取エネルギー≦消費エネルギー状態を作り出さねばならない。
運動しなければ、蛋白質を摂取しても筋肉(骨格筋)はできない。
運動して、脂肪を燃焼させ、筋肉を作るには、脂肪の少ない高蛋白質の食品を摂取することがダイエットに有効である。
上記図からだけ言えば、極端に糖質を減らし、極端に蛋白質を増加させる食事形態(高蛋白質ダイエット)はありえるが、通常の日本人の体はそのような食生活に慣れていないので、種々の問題が起きる。肝臓と腎臓に負担がかかる。 蛋白質中の窒素化合物は尿(尿素)に変換しなければならなくなります。そのため肝臓や腎臓にかかる負担が普段よりも大きくなり、内臓疲労を引き起こしてしまう可能性がある。

高蛋白ダイエットというのは、いろいろな状況が交錯しており、それぞれにおける検証が必要であり、それが十分ヒトで立証されているとはいいがたいが、(1)高蛋白質ダイエットは人によっては危険性が否定できない。(2)高蛋白質ダイエットは運動とリンクさせると効果的である。(3)高蛋白質ダイエットは低蛋白質食より満腹感を与え一日の摂取量及空腹の減少させることが、場合によって体重減少につながる。

参考文献1-3-1

24606898 Low protein intake is associated with a major reduction in IGF-1, cancer, and overall mortality in the 65 and younger but not older population.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=24606898
米国。カリフォルニアにおいて 50歳から65歳の対象者のうち、動物性タンパク質の摂取量が中程度以上の人は18年間のフォローで全体的な死亡率75%増加、ガンによる死亡率が4倍に増加する。植物性蛋白質摂取の場合はこのようなリスク増加は抑えられる。65歳以上の場合は、その逆で、高タンパク質の食事のほうががん発生や死亡率が減少した。しかし、すべての年齢で糖尿病による死亡率は5倍に上昇した。(2014年)。
26875447 Energy-restricted, high-protein diets more effectively impact cardiometabolic profile in overweight and obese women than lower-protein diets.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=26875447
スペイン。80名の肥満中年女性を対象に6か月間の試験で、カロリー制限した高蛋白質食と同じカロリー制限の低蛋白質食の効果を比較した。35%の方が10%以上の体重減少があったが、高蛋白食と低蛋白食の効果の明確な違いはなかった。しかし、高蛋白質食の方が、体脂肪量、インスリン抵抗性等の改善効果が大きかった。(2017年)

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