| ダイエット法 | 評価* | 報告における 効果の程度 |
科学的 合理性 |
主観的コメント | |||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 栄養吸収抑制ダイエット | ギムネマシルベスタ | B | 複合抗肥満サプリメントとしての試験があるが、単品でのヒト試験は乏しい | B | 同上 | B | 糖類吸収抑制は糖尿病治療薬としてのポピュラーであるが、食事制限との併用である。吸収抑制サプリメントの場合もあくまで、食事制限と組み合わせないと、カロリー摂取量が増えては意味ない。脂肪燃焼促進サプリメントも臨床試験は運動量増加と組み合わせていることがほとんど。これらサプリメントは食事制限や運動量増加と組み合わせて効果が期待できる場合もあると考えるべきであろう |
| サラシア | B | インドの伝承的薬草である。複合抗肥満サプリメントとしてのヒト試験があるが、単品でのヒト試験は乏しい | B | 吸収抑制は総摂取カロリー抑制を守らなければ減量とはならない。インスリンの急激な上昇を抑えることも効果があるとは思うが | B | ||
| カテキン | A | カテキンのヒトおける抗肥満効果の報告は数多く存在する | B | 単純にカテキンを摂取したら体重が減るというよりは、運動の減量効果を助長するという趣旨の報告が多い | B | ||
| 難消化デキストリン | B | ヒト試験の例もは少なくないが、いずれもパイロット試験的な少人数の試験である | B | 難消化デキストリン(Indigestible dextrin)やレジスタント・スターチ(resistant starch)が減量効果を持つというヒトを用いた研究結果は見つからない。しかし、抗肥満につながるであろう効果は見える | B | ||
| キトソン | A | いくつかのしっかりしたヒト試験が存在する | A | 報告の結果をそのまま受け取れば、減量効果があったということになる。脂質吸収抑制は摂取カロリー減には効果的を思われる | B | ||
| アップルペクチン | B | ヒト試験に乏しい | B | ヒト試験が少なすぎて、有効性をコメントできない。方向としては有望と思うのだが? | B | ||
| サイリウムダイエット ランタゴ・オオバコ |
B | ヒト試験に乏しい | C | ヒト試験はわずかであり、この試験では有効性が認められなかった | B | ||
| 白インゲン豆 | B | 少ないが、比較的しっかりしたヒト試験が行われている | B | 炭水化物豊富な食事をとる方にはインゲン豆抽出物のalpha-amylase阻害画分は体重減少に有効であるようだ。 | B | ||
*研究報告状況(かなりの量のヒトでの研究ありA、わずかな人での研究ありB、かなりの量の動物での研究ありC、予測の段階D
3-2-1 ギムネマシルベスタGymnema sylvestre
動物試験でギムネマシルベスタの抗肥満効果が示されている。ヒトでは明確なGymnema sylvestreの投与試験は見当たらないが、複合抗肥満サプリメントとしての報告がある。Gymnema sylvestreの抽出物は食欲抑制および糖、脂肪の吸収抑制により抗肥満効果が期待できる。Gymnema sylvestreの摂取の仕方も色々あり、一定の商品の抗肥満効果を人間で大規模に試験した研究が少ないために、その効果をコメントしにくい。
参考文献3-2-1
24944372 Effects of a stimulant-free dietary supplement on body weight and fat loss in obese adults: a six-week exploratory study.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=24944372
カナダ。肥満者(20-50 才; [BMI], ≥30 kg/m(2)) 24名対象。glucomannan, chitosan, fenugreek, Gymnema sylvestre, 及び vitamin Cを含むカプセル(商品名Calorie-Care™).を6週間投与。体重および体脂肪の顕著な減少がみられた。 (2003年)
24511547 Phytochemical and pharmacological properties of Gymnema sylvestre: an important medicinal plant.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=24511547
インド。Gymnema sylvestreが持つ gymnemic acids, gymnemasaponinsとして知られるtriterpene saponins及びポリペプチドgurmarinが甘味抑制剤と考えられている。このために食欲抑制効果があると考えられている。(2014年)
3-2-2 サラシア(Salacia oblongaなど)
Salacia oblongaのようなハーブにはα-グルコシダーゼ阻害剤(α-glucosidase inhibitors:デンプンのような炭水化物分解を抑制する))が含まれる。炭水化物(例えばデンプンや砂糖など)の消化に必要であるα-グルコシダーゼ酵素を阻害することにより、炭水化物の消化吸収を防止することによって、血糖値の上昇をおさえ2型糖尿病予防・治療に用いられる。α-グルコシダーゼ阻害剤は糖尿病治療医薬として大きな実績がある。 よってハーブ由来α-グルコシダーゼ阻害剤は抗肥満の効果が期待できる。Salacia oblonga はGymnema sylvestre同様、ヒトを用いた抗肥満効果試験の少ないことが問題である。
参考文献3-2-2
19405040 Daily consumption of Reliv Glucaffect for 8 weeks significantly lowered blood glucose and body weight in 50 subjects.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=19405040
イタリア。レイヴィー社の商品<Glucaffect>の投与試験。 体重過剰者50名 を対象、8週間投与。<Glucaffect>はピクノジェノール(フランスの海岸松の樹皮から得られるエキス) 、マデグリシル(Madeglucyl™)ムラサキフトモモ(Syzygium cumini )の種からの抽出製品及び, Salacia oblongaを含むハーブ由来のα-グルコシダーゼ阻害剤(α-glucosidase inhibitors:デンプンのような炭水化物分解を抑制する))を含む。 Glucaffect™ 投与は空腹時血糖、体重、BMI 、HbA1c(糖尿病指標の一つ) を統計的有意に低下させた。(2009年)
3-2-3 カテキン(catechin)
カテキンのヒトにおける抗肥満効果の報告は数多く存在する。但し、単純にカテキンを摂取したら体重が減るというよりは、運動の減量効果を助長するという趣旨の報告が多い。このことは留意すべきだろう。
参考文献3-2-3
19074207 Green tea catechin consumption enhances exercise-induced abdominal fat loss in overweight and obese adults.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=19074207
米国。107名対象、カテキン625 mg 及びカフェイン39 mg を含む食事(コントロールはカフェインだけ)を含む食事を12週間与えた。一定のエネルギー摂取と中程度の運動を課した。カテキングループは体重、総腹部脂肪領域、皮下腹部脂肪領域、絶食時血中トリグリセリドがコントロールより減少した。緑茶カテキンは運動による腹部脂肪と血中トリグリセリド減少を亢進すると結論。(2009年)
3-2-4 難消化デキストリン(Indigestible dextrin)
とうもろこしの澱粉分解物からつくられた難消化性デキストリンが食品やサプリメント素材として流通している。ヒトの消化管は自力では難消化性デキストリンを消化できないが、大腸内の腸内細菌が嫌気発酵することによって、一部が酪酸やプロピオン酸のような短鎖脂肪酸に変換されて一部は、エネルギー源として吸収される。エネルギーは1Kcal/gである。難消化性デキストリンは粘度の高い溶液をつくり、胃から小腸への食物の移行を緩やかにする。また、拡散阻害作用、吸水・膨潤作用、吸着作用などがあり、摂取した食物は胃で消化され、緩やかに移行し、吸着され、吸収速度が緩慢となる結果、グルコースの吸収を緩慢にして血糖値の上昇を抑える。熟した果物などに含まれている水溶性食物繊維(難消化性デキストリン)は、食後の血糖値の急激な上昇の抑制作用が報告されている。難消化性デキストリンは海外ではレジスタント・スターチとして論文に登場する。
PabMedに登場するIndigestible dextrinの効果に関する研究報告はほとんどが日本の報告であり、動物試験である。
海外ではレジスタント・スターチ(Resistant starches)として小規模なヒトを用いた研究が報告されている(動物試験は数多く報告されている)。レジスタント・スターチとは、ヒトの小腸まででは消化されず、大腸に届くでんぷん、および、でんぷん分解物の総称である。「レジスタント」=「消化されない」、「スターチ」=「でんぷん」という意味であり、難消化性でんぷんまたは耐性でんぷんとも呼ばれる。レジスタント・スターチは、工業的に加工された食品ばかりでなく、天然食品に含まれる難消化性スターチも含まれ、4つに分類される(5つに分類される場合もある)。
RS1: 雑穀のように硬い組織に囲まれていることで消化酵素がでんぷんまで届かないタイプ
RS2: 十分に加熱されていない未糊化のでんぷんやアミロースの極めて多いでんぷんなど、でんぷんの粒子自体が消化されにくいタイプ
RS3: 冷やご飯や春雨のように一度加熱されて糊化したあと、冷めたり保存する過程で一部のでんぷんが再結晶して消化されにくい構造に変化したタイプ
RS4: 加工デンプンの一種で、でんぷんを高程度に化学修飾することで消化酵素が作用しにくくなったタイプ
いくら調べても、難消化デキストリン(Indigestible dextrin)やレジスタント・スターチ(resistant starch)が抗肥満効果を持つというヒトを用いた研究結果は見つからない(PabMedレベルで)。これらの抗肥満効果を生むであろうと期待される効果は
1、低カロリーでありながら満腹感をあたえる。
2、糖や脂質の吸収速度を落として、急激な血糖値やインスリン値を上げない。
3、腸内細菌に利用され、短鎖脂肪酸を生み、これが抗肥満作用に結び付く。
理屈上は抗肥満効果を期待できるのであるが、実際のヒトを用いた大規模な研究が見当たらないために、効果のほどはコメントできない。
参考文献3-2-4
25851425 Post-meal perceivable satiety and subsequent energy intake with intake of partially hydrolysed guar gum.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=25851425
日本。Partially hydrolysed guar gum (PHGG), (可溶性食品ファイバー)
study 1, 健常人12名対象。朝食、昼食、夕食スナック摂食時にPHGG を摂る。
study 2, 健常人24名対象。2 g のPHGG 又はデキストリンをヨーグルトと共に朝食として2週間摂取する。study 3 健常人6名対象。6 g PHGG 又は indigestible dextrin 又は inulin を昼食と主に摂取する。PHGGは他の試験食品より満腹感を与える、及びエネルギー摂取量を低減させることに効果がある。(2015年)
15507129 Resistant starch consumption promotes lipid oxidation.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=15507129
米国。12名対象。炭水化物として0%, 2.7%, 5.4%, 及び 10.7%レジスタント・スターチを含む食事を摂取。5.4% レジスタント・スターチを含む食事は食後の脂肪酸化が顕著に増加した。よって、長期間では脂肪蓄積を減少できるであろう。(2004年)
3-2-5 キトサン(chitosan)
キトサン(chitosan)は麹カビ(Aspergillus niger)、酵母(Saccharomyces cerevisiae)、エビの殻から調製されている。難消化デキストリンよりしっかりした臨床試験が行われているように見える。脂質吸収抑制がメカニズムと考えられる。
参考文献 3-2-5
28251654 Effect of a polysaccharide-rich hydrolysate from Saccharomyces cerevisiae (LipiGo®) in body weight loss: randomised, double-blind, placebo-controlled clinical trial in overweight and obese adults.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=28251654
スペイン。56名の体重過剰から肥満者対象。 多糖リッチサプリメント、商品名LipiGo®酵母(Saccharomyces cerevisiaeを化学分解して得た特殊なβ-glucan-chitin-chitosan 画分 (BGCC)またはプラセボをサプリメントとして3g/日、 12週間摂取。食事は特別な制限なし。BGCCはプラセボに比して体重、ウエスト周囲、体脂肪が改善。
(2017年)
26747458 Single-blind, placebo controlled randomised clinical study of chitosan for body weight reduction.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=26747458
インド、ベルギー。96名体重過剰から肥満者を対象。カビ由来キトサン・カプセル500 mgまたはプラセボを 5錠/日を90日間投与。食事制限は無し。90日間で3kgの体重減少。BMI、身体計測的数値、HbA1C(糖尿病指標)、QoL score等が改善。安全性は確保されている。脂肪吸収抑制がメカニズムと考えられている。(2016年)
3-2-6 アップルペクチン (apple Pectin)
満腹感を与えて、総摂取量を下げる効果があるようだ。
参考文献3-2-6
18065575 Novel calcium-gelled, alginate-pectin beverage reduced energy intake in nondieting overweight and obese women: interactions with dietary restraint status.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=18065575
米国。体重過剰又は肥満女性29名対象。安定したゲルを形成するカルシウムでゲル化したアルギン酸-ペクチンを1.0 g又は 2.8 gまたはプラセボを朝食前と午後中期に2回、7日間摂取。両摂取量において夕食の食事量が有意に減少した。(2007年)
3-2-7 サイリウムダイエット/ランタゴ・オオバコ
ヒト投与試験がほとんどない。体重抑制作用を主張するには不十分であろう。
参考文献3-2-7
27761216 Comparative Study on the Effect of Plantago psyllium and Ocimum basilicum Seeds on Anthropometric Measures in Nonalcoholic Fatty Liver Patients.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=27761216
イラン。オオバコ(Plantago psyllium)種子10g/日、バジル(Ocimum basilicum)種子10g/日又は双方のミックス10g/日又はプラセボを昼食、夕食前に非アルコール性脂肪肝(nonalcoholic fatty liver disease : NAFLD)患者に12週間投与。最終解析人数は各グループにおいて、16~19名。いずれの投与群も身体的測定値に変化はなかった。(2016年)
3-2-8 白インゲン豆(white kidney bean)
参考文献3-2-8
17658120 Blocking carbohydrate absorption and weight loss: a clinical trial using a proprietary fractionated white bean extract.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=17658120
米国。Phaseolus vulgaris(インゲン豆)からのwhite bean extractの画分は消化酵素alpha-amylaseを阻害し、複雑な炭水化物の分解抑制または遅延させ、体重減少効果が期待される。健常人25名に1000mgのwhite bean extract画分またはプラセボを食前2回、4週間摂取。食事、運動、行動介入を含む体重減少プログラムと組み合わせる。体重減少プログラムはいずれのグループも体重およびウエストサイズを有意に減少させた。両グループ間には有意差はなかった。しかし、炭水化物を最も多く摂ったグループではwhite bean extract摂取グループはプラセボより体重、ウエストサイズ減少が有意に大きかった。(2007年)
17299581 A Dietary supplement containing standardized Phaseolus vulgaris extract influences body composition of overweight men and women.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=17299581
イタリア。軽度体重過剰者60名対象。Phaseolus vulgaris(インゲン豆)抽出物を1錠/日を炭水化物豊富なメイン食事前に30日間摂取。インゲン豆抽出物摂取グループはプラセボに比して体重、BMI、脂肪量、脂肪組織厚、ウエスト/ヒップ/大腿周囲が有意に減少。(2007年)
